左手のエース
大地はえっ、と声を漏らして
あたしの方を振り返った。


「そうだよ。
舞、知ってんの?」





「…少しね。

東亮太ってレギュラーだったんだ…

でも、レギュラーだったのに調子こいて辞めちゃったんでしょ?

あたしと一緒にしないでよ。」






何日か前、タコ公園で練習しているアイツを思い出した。




上手いのは上手いけど…

レギュラーと呼ばれるには
なんだか物足りないような…
やる気がなさすぎるような気さえしてくる。


何より会う度に見せる失礼な態度が気にくわかなった。







「リョウは好きで辞めたんじゃねぇよ。」




大地は珍しく落ち着いた口調で話し出した。


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