左手のエース




彼はあたしの側で
静かに立ち止まり、


自分が被っていたキャップを

涙を両目いっぱいに溜めた
あたしの頭に深く被せた。








そして
ボールを器用に足で蹴り上げ、
左手で受け止めた。










彼がゴールまでドリブルし、
ゴールをきめる音を聞きながら






キャップの下で


涙が頬を伝って落ちた。
< 31 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop