左手のエース
「亜耶!また明日ねぇ♪」




チャイムがなり終わるか終らないかのタイミングで、

あたしは鞄を担いで
部活へと足を弾ませる。





「じゃーね舞♪」









階段をかけ降りて、

体育館へ続く
渡り廊下を抜ける。






「お疲れ様です!!」




制服のリボンを緩めながら、

体育館の手前にあるバレー部の部室を覗いた。




「…おつかれ」




部室の中には、
冷たい反応の早紀先輩一人。
机の上で部員のユニホームを片付けていた。




あたしは一瞬ひるんだ気持を
早紀先輩にバレないように押し込んで話題をさがす。





「あ…雨あがって良かったですねっ!!

雨だとまともに練習できなですよねぇ。」







早紀先輩は背中をむけたまま何も答えなかった。


覚悟はしていたけど、実際に沈黙が流れると辛い。







「もう梅雨あけっぽいですしね。

ニュースでやってました♪」






試合の話題を避けようと思うと
天気の話題しか出てこない……。


あたしが何ともないそぶりで着替えながら、
必死で話題を探していると

ふいに早紀先輩が口を開いた。

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