左手のエース
「………あのさ」





「はいっ!!!!!!」






早紀先輩が落ち着いた口調で
話し始めたとき

あたしは驚いて不自然にも大きな声で返事してしまった。






「……」


「……」







少しの沈黙が、
蒸し暑い部室の温度を下げる。






背中を向けている早紀先輩が
どんな表情でいるのかわからない。








10分にも20分にも感じられた
少しの沈黙を破って、
早紀先輩が話し始める。







「………舞に…

嫌な思いさせてるのは
わかってる。


もっと大人になれたらいいんだけど…」





あたしは返す言葉もなく
うつむいた。

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