左手のエース
「活躍する保証も
試合に勝つ保証もないけど


勝ち負け以前に、
実は補欠でしたーなんて…

笑っちゃうよね。」






早紀先輩はクスクスと声に出して
一通り笑って見せた後、

涙で曇っていく声で言った。




「でも、これはあたしの問題で、

舞にそっけない態度とるなんて
間違ってるよね。






…でもごめん、舞

しばらくは口聞けないかも…。」





早紀先輩は
頭を冷やすからと
部室を出て行った。










あたしは、早紀先輩が畳み残した部員のユニホームを
ただ見つめる――…














…あたしは





早紀先輩の大事な試合に




出るだけの実力がある――…?












拭いきれない不安が
あたしの心を覆った。
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