左手のエース


ダンッ…



ユリエ先輩が
バレーボールを床に叩きつける






「舞、今日はもういい。

帰って」





ユリエ先輩のその言葉に

自分のプレーが
エラー続きだったことを
初めて認識した。







ユリエ先輩は
ネットの向こう側から
甘えを許さない顔で
あたしの方を見ている。








「すいません…!!

気持ち入れ替えます!!」




あたしはしっかり頭を下げる。
ユリエ先輩は続けて言った。




「……舞は、自分のプレーが
周りの部員に
どれだけの影響を与えてるかわかってる?」








ユリエ先輩の言葉に、
周りの部員達が
不安な表情でいることに気づく。





「今日の舞は

この部には必要ない。

帰って。」









引き止める人は誰もいない。


あたしは自分の甘さを悔やむ。







「……わかりました。

失礼します。」








あたしは静かになった
バレー部員達の中を
小走りで抜けて体育館から出た。

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