左手のエース
「舞、部活行かないの?」



気がつくと、
亜耶が隣の席で
不思議そうな顔をして見ていた。





「…へ?あっ、うん、
行かなきゃね」





周りの様子から、
もう下校時間であることを察したあたしは、

真っ白なままの
数学のノートを閉じ、
鞄の中に仕舞う。





「ちょっと考え込んじゃって…
今の問題…」


心配そうな亜耶に、
らしくない嘘をついて笑ってみせる。




亜耶には全て話していた。


亜耶はあたしの決断を否定しなかったけど、

いつまでも晴れない顔のあたしに
何か言いたそうな目をする。






「亜耶、心配しないで。

明日、勝っても負けても、

後悔しないから」




あたしはニッと笑い、
そのままバイバイ、と
手を振って教室を出た。




その言葉が嘘なのか本当なのか
もう自分でもわからなかった。
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