左手のエース
2人が真剣な表情で話しているのが見え、


あたしは2人からほどよく距離をとって待つことにした。





「だがな、東。

お前、こんなに突然だと、部活内の雰囲気も悪くなるしな…」



少し大きくなっていく徳ちゃんの声が聞こえた。








…部活?


アイツ、部活してたんだ。
徳ちゃんが顧問ってことは…
バスケ部だな。






東亮太は冷静に何か言い返して、

そのままその場を離れて行った。







あたしは徳ちゃんの様子を伺いながら、話しかけた。


「徳ちゃん、課題、ここでいい?」




「ん?あ、ああ。置いといてくれ。ありがとな。」






徳ちゃんの手には、

東亮太の名前が入った
退部届が握られてあった。





寂しげな目で退部届を見る徳ちゃんを見て、

何があったの?と

尋ねそうになったけど、




他の部活の事情に首を突っ込むのも悪い気がして辞めた。
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