左手のエース
トーナメント戦だから、

負けた時点で夏の試合は終わる。




3年の晶先輩やユリエ先輩達にとっては試合の負けは引退を意味する。





あたしはグッと両手を握り締めた。





「だからね、みんな!!
勝ちに行こう!!みんなで!!


2年でも1年でも関係ない。
勝てるメンバーに活躍してもらうから。

3年に変な気は使わないで。みんなで勝とう!!」






晶先輩の目は真剣そのものだった。




みんなが力強く返事をすると、
解散の号令がかかった。






南高は名門校でバレーが強いことはあたしも知っていた。




この学校だって決して成績が悪いわけじゃないけど、

先輩達から漂う異様な緊張感から

あたしは妙な焦りを感じていた。
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