水嫌いマーメイド
息継ぎの合間にちらっと様子を伺うんだけど…。うわぁ…滝山の目が半端なく怖いんですけど!?

「ひっすーい!」

可耶が筋トレを終わらせたらしく途切れ 途切れの画面に、あたしに向かって手を振りだした。

『可耶!終わったの?』

……とは言えず、あたしはターンに向かってるから、立って手を振れば、確実に帰宅させられる。

滝山がヤバイ事も知らず呑気にあたしを呼ぶ。
もうちょっと、遅かったら対応出来たのに……。あーもう!!気付いてよ!誰か、可耶を止めて!

本当に、あとちょっとなのにッ!

「可耶ちゃん!」
「はい?」
「3回ジャンプしてくれる?」
「……?」

あたしがプールから上がった時には、先輩が対応してくれていた。

はぁ……。安心して思わず肩が落ちた。

『可耶!』
「ん?何?」

何故、ジャンプさせられたのか分からず、へろっとした可耶に耳打ちで、

『滝山ヤバイから、早くアップしといで』
「う゛ぞ!」

小声にも関わらず、“滝山”というワードに気付いたのか、慌ててプールに入った。

「妃泉ちゃん!次、クロールするよ!」
『は、はいっ!』

クロールを始める先輩の後を慌ててついて行った。ここでは、男女共に一緒にやっていた。

3年レギュラーを軸として、2年生は入ったり出たりのレギュラーの人達と後は……

「お、佐々木じゃん!」『………水沢かぁ』
「え?機嫌悪い?」
『別に…?』

あたしと水沢の1年の、出来るペアらしい(先輩命名)

何で……水沢と一緒なんだろう…?“一緒”ってのは嬉しいんだけど…。

ほら…誰にも邪魔されないで、話せたりするのは良いけど……。

「あれ?妃泉ちゃん…デキたの?水沢くんと♪」『ち、違います!』
「おい、水沢!先輩に嘘はダメだよなぁ?」
「だから、違いますから!」


うわ…顔真っ赤じゃん。水沢。

それは、…あたしとがだから?それとも…あたしだから…?
良い方に解釈しても…良いの?

「何でもないよな!な、佐々木!」

“何でもない”
何の関係も無い……って事だよね。なんて、エゴな考え方だろう。

『う、……うん』

関係……ないんだ。
“うん”このたった2文字が口から出にくいなんて…。

< 13 / 45 >

この作品をシェア

pagetop