水嫌いマーメイド
「……佐々木。話をしても良いか?」
『あ゛っ、はい!』

恥ずかし~!
考え過ぎだな…。それを横で見て、必死に笑いを堪えてる……水沢潤。

野郎ォ…!

「…今度の大会で3年は引退する。その後、キャプテンは2年に引き継ぐ……」

滝山の一方的な話の内容は、

ここの水泳部のキャプテン枠は3人で構成される。

キャプテン…一名(3年)副キャプテン…二名。
この副キャプテンを毎年、1年と2年からそれぞれ一名選ぶ…という仕来たりが、あったりする。

「……で、お前らが推薦により男子副キャプ水沢。女子副キャプを佐々木…とする」
『え?!』
「……マジすか」
「嫌なら、取り消してやっても良いが」

いやいや!
そんなチャンスは滅多に無いから頂きますけど!

「じゃ、頑張れよ」
『はい!ありがとうございます』
「ありがとう…ございまします」
「礼は、推薦した奴らに言え」

去り際に後ろ姿に手をヒラヒラさせて、去って行った。

こんな時期に副キャプを決めるのは、地区大会に勝ち残る前提だからだけど……


副キャプテンかぁ……。しかも一緒かぁ……。
超人生バラ色じゃーん!

「佐々木、佐々木」
『ん…何?』
「悪さ…できねぇな」

やれやれと言いたそうな顔をし出した。
する気だったんだ…?
まぁ、する予定なんですけどね。

「でも、俺は行くけどな!」

あたしをクラクラさせる、悩殺スマイルにVサイン。
何か1つ付くだけで、また格段にカッコよく見える。

小さい頃によく頼んだ、ハンバーグにオモチャ付きの魅力が分かる。

『…あたしも行くよ』
「俺ら悪いなぁ」
『共犯だからね?』
「そっか♪」

こんなやり取りが、むず痒い。進展も無くて、友達みたいな関係。ドラマチックに欠けて、煌めきが儚すぎる。

ときめき 異常アリ
今日も、佐々木妃泉は元気でございます。

「じゃ、放課後にな?」『…うん』

ピンッとデコピンを額に食らった。嬉しいんだけど………痛い。

嬉しいハズが痛みが走って行った。

デコピンが痛いんじゃなくて、ニキビの治りかけに、食らったのが痛すぎる。

『ロマンチックのカケラを少し、あたしに下さい』

そう思ったのは、夢じゃない。

< 15 / 45 >

この作品をシェア

pagetop