水嫌いマーメイド
騙されないで…妃泉!これは、水沢とあたしだけしか知らない秘密。でも、バレたら退部の危機…!天使のような悪魔の契約よ!!

「………ダメ?」

う゛っ……。極上スマイル……!でも妃泉。ここは断るのよ!ごめん、あたしには出来ないって!言ってやれ、佐々木妃泉!

『ご……めん』
良し!そのまま!
『良いよ』
どうしてそうなる?!
「マジ?!ありがとな」

嬉しそうに再び泳ぎ始めた水沢の、あの笑った顔にまた、ズキュンとした。あぁ…共犯って響きはズルい。

どんどん知りたくなってくる水沢の素顔。
今度はケータイのアドレスが知りたくなってくる。こんな貪欲でいいの?恋って……正解はあるのだろうか?


っていうか、バレたらあたしも道連れ……??
うっそぉーーー!!

「ムンクの叫びマネ?」

あたしにそう言いながら笑いを必死に堪えてる水沢。そんな堪えなくても良いよね?!

『笑いたきゃ、笑えば良いでしょ!』
「だって……ブッ、ハハハハッ!」

水沢火山は大噴火。
信じられんない!お腹抱えるほど、マヌケな顔だったワケ?!

誰か、今すぐあたしに大きな穴と蓋を下さい!!!!!死ぬまでそこに暮らそうかと思いますので!


「あぁ…笑った笑った♪さて、帰ろうか」
『帰るの?鍵は…』

シャランと鳴らした鍵を見せて尋ねる。

「俺が行く。共犯でも、主犯は俺だから♪」
『え、でも……!』
「女のコを危険な目に遭わせちゃ男の名が廃るよ」

ねっ?に合わせて口元に人差し指を当てた。ほんっと、こいつを好きなだけに水沢には弱いあたし。
仕方ない任せ…ようか。

『じゃ…お願い』
「任された!じゃ、佐々木は校門で待ってろよ」『う、うん……』

とりあえず、水沢に従う。けれども…何故に校門?早くしないと暗くなっちゃうのに…。
時計は、きっかり6時30分を指していた。

早く帰って来ないかな……?



「お待たせな…佐々木!」
『遅いんですけど?』
「まぁ、そんな怒んなよ。可愛いんだから」

一言が余計過ぎて、怒るに怒れないでしょう?!

『可愛くないっ!!!!!』

怒れないから、いじけるしか手が無い。それに、こんなの…全然可愛くないし。あたしって、意地っ張り!!
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