水嫌いマーメイド
『可愛いって、言う人違うんじゃない?』とでも言えば良いのに……。自分で思って凄く凹んだ。

「そーゆーのが、可愛いのっ」

無邪気な笑顔で、あたしの鼻をつんっ♪と押した。

っああぁぁぁ…!!
体温が上がるから、そういうのナシッ!!鏡が無いけど、真っ赤だというのは分かりきってる。

嗚呼、コレも恋ですか?ただただ男に免疫が無いとかに関わらず、これを恋と呼ぶならばあたしは、水沢にゾッコンという答えが出ますが。

「…じゃ、俺はこっちだから。気を付けて帰れよ!」

結局、何だかんだで家まで送って頂きました…。まぁ、気を付ける程の距離は無いんだけどね。

「じゃあ、また部活で」『うん…今日は何かとありがとう』
「掃除で、筋肉が疲れてると思うから、充分休ませろよ?」
『分かってるよ!』

筋肉が疲れてるのは勿論、心臓が倍近く疲れてるハズだから1日かけて休ませるつもりだけど。



「うわ…スリリング☆」『☆要らないから』
「そーぉ?」

只今、お昼休み。
あたしの机に可耶がやって来て、お弁当を頬張っている。
もう、スリリングってレベルのトキメキじゃ、無いからね?
可耶に昨日の事を報告中…だけど昨日、体験してない可耶に話しても軽く返される。
それを知ってか、知らずか可耶は「うん!早速コクろう」と両手をあたしの両肩に置いた。

何でよ!!!
どんな思考回路を駆使すれば、そんな答えが出てくんのよ。

『あのね!ただ、送ってもらったダケで付き合えたら世界中の恋する女の子は苦労しないよ!』

報告中……だけど、あの内緒はさすがに言ってない。
“プール掃除が終わって学校を出たら水沢が居たから送ってもらった”と嘘をついた。

そうでもしないと、放課後、あたしと水沢を繋ぐ蜘蛛の糸が引きちぎれてしまう……。

「夢が無いなぁ…妃泉は。後は、アタックじゃない?」

可耶の割には真面目な答えが返ってきた。

『ふ~ん?例として、どんなアタック?』
「色じかけかな??」
『天使に会いたい?悪魔が良い?それとも…』
「………すみません」

可耶が頭を下げた。いや…一応、あたしも女子の端くれだし殴りはしないけど、さっきはしても良い?ってガチで思ったからね?
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