鬼のお嬢
第5章:怪我と春
本物
大学に進む安全策を棄てた慶の未来が、本当にいいことだったのかは誰にもわからない。
ただ、今の慶はきっと両親から見て、今まででは一番、輝きを放ってるんだと思う。
―― 11月。―――
寒い季節がまた、この街へとやってきた。
『久しぶり♪』
『そうでもないじゃん(笑)』
那奈・葵・香奈・楓だ。
『あ!幸人くんは大学行って、彼女出来た?』
『いや、全然(笑)』