鬼のお嬢

『幸人……』










幸人が手を伸ばし、あたしを抱きしめてきたのは、初めてのことだった。







『つらかったな…。泣けばいい。ここで、お嬢でいる必要はないんだから……水城だって女なんだから、少しくらい弱いとこ見せたって良いんだよ。』







幸人がいてくれて、良かった……。



あたしは幸人を傷付けてばかりなのに…それでも側にいてくれる幸人に感謝していた。







そして、あたしの春への恋は、こうして幕を閉じた。





< 273 / 538 >

この作品をシェア

pagetop