鬼のお嬢
『幸人……』
幸人が手を伸ばし、あたしを抱きしめてきたのは、初めてのことだった。
『つらかったな…。泣けばいい。ここで、お嬢でいる必要はないんだから……水城だって女なんだから、少しくらい弱いとこ見せたって良いんだよ。』
幸人がいてくれて、良かった……。
あたしは幸人を傷付けてばかりなのに…それでも側にいてくれる幸人に感謝していた。
そして、あたしの春への恋は、こうして幕を閉じた。
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