鬼のお嬢
医務の先生の手には、サッカーのチケットが握られていた。
『せっかくです。行ってあげて下さい!』
『行くのは、私じゃない気がするんだよね。これはきっと、水城さんのために用意したチケットだと思う。渡せなかったんだろうけど…バレンタインデーの日。』
『あたしは…サッカーを見には行けません。』
『なら、後でゴミ箱にでも何でも捨てて?バレンタインデーまでだし、考える時間はたくさんある。』
『わかりました……。一応…預かります。』