鬼のお嬢
息をするのさえつらい状況の中、あたしは前へ前へと歩き続けた。
フワッ。
『紗波……もう…もう無理しないでくれ…。』
春が後ろから、あたしを優しく抱きしめていた。
『春…サポーターの皆が……あたしは大丈夫だから…ね?』
『好きな人1人を守れない俺が、サポーターたちを守れるか?俺は、紗波を守れる男になりたい…。あいつみたいに……』
『あいつ…って……?』
春に支えられてなかったら、きっともう倒れてる。