鬼のお嬢

― 1週間後。――




あたしは、結局。

何の記憶も戻らないまま、家へと返された。







この人がお母さんで、この人がお父さん。



何となく懐かしい記憶だけが、残っている程度だった。







『ただいま。』





『お帰りなさい。』





『ごめんなさい…。』





『どうしたの?』







あたしは…これから、どうしていけばいいの?



自分の名前しか知らないあたし…。



覚えてるものが、何もないあたし…。





< 390 / 538 >

この作品をシェア

pagetop