鬼のお嬢
あの日
見張りの奴らを、倒したからだった。
この時、加賀美 幸人は、闇の男が長谷川 春だということを知った。
―― 病院。―――
まだ手術は続いていた。
静まり返った廊下で長谷川 春は、重い口をひらいた。
『紗波が俺らの事を忘れる前、病院で目をさました紗波にさー…学校で、紗波かばって手怪我した時のこと、きかれたんだ。』
『何て?』
『「手を怪我した時……どうしてあの男は、急に抵抗しなくなったの……?」って。』