鬼のお嬢
『……何で、その話をしようと?』
『…その子は、今いないから助けてあげられないけど、春は…1人じゃないから。あたしね…その子に何もしてあげられなかったんだ…。笑顔にもしてあげられなかった。つらい時、一緒にもいてあげられなかった……。』
『紗波。』
春はあたしを軽く抱き締めて、
『ありがと……って、その子もさ…そう思ってる。紗波がいるだけで…紗波が生きてるだけで、充分過ぎるくらいだって…きっと思ってるよ。』
春はささやいた。