【短編】 犬と猫
犬と猫
「奏也先輩!私と付き合ってください♪」


「無理。」


何度目の「無理」だろう?

言われすぎて麻痺してきた(笑)



私は折原 悠(おりはら はるか)。

高校1年生。


1つ上の学年の安藤奏也先輩にひとめぼれして早1ヶ月。



なーんにも進展はない。


「せんぱーい。寝ないでくださいよぉ。せっかくのお昼休みなのに!」


「せっかくのお昼休みだから寝るの。邪魔しないでくれるかな。」


奏也先輩はとってもクール。というか、もうクールどころの話じゃない。

でも顔はすっごくかっこいいの!

とくに私のお気に入りはやわらかい黒髪。


「先輩!髪触らせてくださーい♪」


返答がない。


「先輩?」


顔をのぞきこむとすやすやと幸せそうに寝ていた。


「早っっ」


でもこれはチャーンス♪今のうちに触っとこ!
と、手を伸ばした瞬間、動きが止まる。


「あっ、え!?先輩起きてたんですか!?」


先輩は私の腕をがっちり掴んで静止させた。


「・・・今起きた。・・・あんたがいるとろくに昼寝もできない。」


はあ、とため息をついて先輩は私の腕を離した。

もっと触ってくれててよかったのに~(笑)


「何にやけてるの?気持ち悪い。」


「なっ、何でもないです!」


気持ち悪いって・・・。いや、もう慣れたんだけど。
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