【短編】 犬と猫
次の日もお昼休みのチャイムが鳴ると同時に先輩のいる屋上へ走る私。


と、その時廊下を眠そうに歩く先輩の後ろ姿を見つけた。


やっぱり先輩って猫みたい。


てか黒猫?


細くて軽い感じ。(重量的に)

そんなことを考えていると先輩に男の人が話しかけた。

そっと聞き耳を立てる私。

変態なのは分かってます。


「なぁ奏也!お前になついとる1年の女子おるやん?」

「あぁ……それが?」


私の話題!?


「あの子紹介してくれへん?俺タイプなんよな♪」


マジで!?

生まれて初めてそんなこと言われた!


あぁ普段あの冷たさに慣れてるから嬉しさの基準が下がってるのか。


先輩はなんて答えるんだろ…。

「な、どう?」


「……無理。」


!!!


先輩は私を紹介したくないと思ってるの!?


先輩の「無理。」でこんなにときめいたことはないよ!


「はぁ~?なんで無理なん?てかもしかしてお前あの子のこと好きなんかぁ?」


ちょっ、なんてことを訊くんだ先輩の友達!!


でも気になる・・・・・・・。


私はドキドキしながら先輩たちの話に聞き耳を立てる。


「・・・・・・それはない。」


十分間をおいてから先輩が発したのはその一言だけだった。


ショック、っていうより、やっぱりか、の方が強い。


分かってたことだから。先輩が私のことを好きになるなんて奇跡としか言いようが無い。
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