ミルクティー
海斗はそれから「いいよ」って言って手をギュッと握ってくれた。




本当はね海斗に助けてほしいんだ。


それでは海斗に迷惑かけてしまう。






「雛那ちゃんはモミジとイチョウだったらどっちが好き?」


モミジとイチョウ?


「私は…モミジかな」

「やっぱり。

俺もモミジ、好きなんだよね。
見に行こうね、モミジ」

「……うん」





それから私たちは黙ってしまった。


お互い何も喋らない。


喋ろうとしない。


私たちの間に流れている空気は嫌な空気ではなく




優しい空気。




ずっと感じていたい…
優しい空気―――…





なんで急にモミジとイチョウの話しになったのかはわからない。

けどこれはたぶん



海斗の優しさ―――…









ポチャン

1滴、私の中にミルクティーが落ちてきた。



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