ミルクティー
「結衣は確か桃咲高校の卒業生だよね」

「うん、講演会の時に話してくれた」

「結衣の夢も看護師だったから雛那ちゃんと一緒だね。
結衣は…」



海斗は玉城さんの事を沢山話してくれた。


けど私の耳には全然入ってこない。


聞きたく無いよ海斗。


海斗の口から“結衣”何て言葉。





海斗は玉城さんの話をする時、とても楽しそうな顔をしながら話している。









見たくない。

聞きたくない。






ヤバい。
泣きそう。




「海斗、ちょっとお手洗い」

「えっあー、ここを出てすぐだから」



泣きそうな顔を見られたくなくてトイレへ逃げようとしたら…







ドン―――

人にぶつかってしまった。



「雛那チャン?」

「陸…」

「どうしたの?
泣きそうな顔しているよ」

「ウッ…ヒック、りくぅ〜」

「よしよし、泣きたい時は泣けばいいよ」




陸は優しくて頭を撫でてくれた。



海斗とは違う手。

海斗とは違う温かさ。


< 166 / 353 >

この作品をシェア

pagetop