ミルクティー
「海斗と一緒だったんだよね?」

声が出ないかわりに頷く。

「海斗の所は…」

「戻りたく…ない」

「そっか…

じゃあ俺の部屋来る?
ついでだし服、見ていってよ!海斗には俺から言っておくからちょっと待っていて」



私の前から居なくなってしまった陸の背中を眺める。





海斗に彼女がいる。

彼女に彼女がいる。



必死に自分に言い聞かせる。




けど…

「わかっていても嫌だよぉ〜」


せっかく少しおさまっていた涙がまた溢れ出てくる。



「ひっなチャーン、おまた…ってまた泣いている」

「ヒック…だってぇ〜」

「はいはい、わかったから。
ほら行くよ」



背中をポンっと押してくれた。





「俺の部屋って言っても作業部屋なんだけどね…」



『作業部屋』と言われた所はまさしく言葉のとうり。
いくつか机があり机の上にはミシンがのっていた。




ここは陸達の服を作る場所。



「海斗には負けるけどミルクティー。
もしよかったら飲んで」

目の前に出されたミルクティーを飲んでみた。



「海斗の方がおいしい…」

「やっぱり…
海斗には敵わないや」





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