ミルクティー
『やっと笑った』

私、笑っていなかったの?


笑っていたはずだよ。




「私、笑っていなかった?」


「食堂を出る前からどんどん暗くなって…
陸の所から帰ってきても笑っていなかった。


だから、やっと笑ってくれた」


「そんなにひどかった?」


「いつもと違っていてどうしていいか分からなかったよ。
結衣やスズちゃんと居ても顔を作っているような感じだった」






私の事見ていてくれたんだ。



気付かなかった…





「私の事、見ていてくれたんだね…

ありがとう」


「どういたしまして。

俺、何かしたかな…?
したなら謝るんだけど…」





言えないよ。

海斗に彼女がいるって思っている事。


その彼女が結衣さんだと思っていた。



それに…





「海斗は何も悪くないから気にしなくて大丈夫だよ…」


「そっか…」




よかった。

本当は嘘。




ばれていない。





前の時、海斗に『雛那ちゃんは嘘がつけない正直な子だね』って言われていたから

『もしかしたら気付かれる』って思ったけど…



気付かれなかった。





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