ミルクティー
お父さんが出て行った。

お母さんはやっぱり出てこなかった。


お母さんと話さなくなったのはお兄ちゃんが出て行った時から。

もう何年も話していないな。

話したとしても…


『勉強しなさい』『成績どうなの』


こんな事しか聞いてこない。
別にいいんだけどね。


けど、けどね
私はお母さんと一緒にご飯を食べたりしたいんだ。
何も言わなくていいから傍にいてほしい―――――

部屋に戻って隣の部屋をのぞいてみた。


ふふふ
海斗と陸、すごく楽しそう。


もう時期、春休みも終わる。


私の心のカップは空っぽだったはずなのに…

今は2滴の“ミルクティー”が入っている。


「七生 海斗」


声に出してみる。

温かい。

私の心が温かくなっていく。


こんな気持ち初めてかもしれない。


あのキラキラした笑顔。

なぜか海斗の顔が頭から離れない。

今の気持ちはわからない…

けど海斗と友達になれてよかったって思う。



< 19 / 353 >

この作品をシェア

pagetop