ミルクティー
そりゃ、難しい顔になって当然だよ。



だって名前の事を言ったら…



私の完璧なやきもちだもん。





「そろそろ寒くなるから帰ろっか?」


「うん…」



今はもう10月。

夜は少し肌寒い季節。



「うわぁあ!!」



海斗は私を抱きかかえて防波堤から降りた。



「ちょ、海斗降ろしてよ…」


「面倒だからこのまま車まで行く」


「えぇー、降ろしてよ!!」



海斗の腕の中でジタバタ暴れたけど…



「そんなに動いたら落ちるから、落ち着いて」



やっぱり落ちたくは…ない。


しょうがないから大人しく海斗の指示に従った。



大人しくなった私をみて海斗は満足そうな笑顔で

「いいこ」

って褒めてくれた。




別に褒めて欲しくて大人しくなった訳じゃないもん。

ただ落ちたくなかったから。



「今、雛那ちゃんの考えている事当ててあげる」


「えっ…」


「『ただ落ちたくなかったから大人しくなった』

…違う?」





当たっている。




「…」


何も言わない私をみて満足そうに笑った海斗がいる。

そして

「当たったみたいだね」



そんなに私って顔に出ているのかな?

う~ん…


「雛那ちゃんは顔に出やすいからわかりやすいよ」


「そんなに…?」


「まぁ考え事している時とかはわかるかな…

まぁあまり深く考えなくていいよ。


俺は正直な雛那ちゃんっていいと思うから」



そっか…

正直なんだ、私って。




けどたぶん海斗は褒めたつもりだと思うけどあまり嬉しくないような…





けど海斗に言われたらなんでも嬉しい私がいる。



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