ミルクティー
「海斗…

はい、あーんして?」


「俺はいいよ…
雛那ちゃんが食べていなよ」


今はちょうど赤信号。

車は停車中―――

私は海斗が準備してくれたお菓子を食べさせてあげようとしていた。



「つまんない…」


けど食べてくれない…


「俺は雛那ちゃんが食べるように買ってきたんだから雛那ちゃんが食べていいんだからね」


そんな事言ったって…

海斗に食べてほしかったんだもん…


そっとのびてきた手…

私の持っていた箱から1つお菓子を取っていった。



「海斗?」


「ん?
はい、雛那ちゃん口開けて」


えっ…

立場逆転?



「恥ずかしいよ…」

「大丈夫。
誰も見ていないから…

はい、あーん」


優しい瞳で見つめられて…私はゆっくり口を開けた。

そして海斗の持っていたお菓子が私の口に入る。



「おいしい?」


「うん」



恥ずかしい///

私ももう1回、挑戦!


「海斗…口開けて。

はい、あーん…」


「全く…雛那ちゃんにそんなに可愛く頼まれたら断れないよ」



そう言って海斗は私の持っているお菓子をパクっと食べてくれた。


えへへ♪

海斗、可愛い。



外から感じる強い視線…


ちょっと外を見ると…小学生が私達をジッと見ている。

どこから見ていたかわからない小学生に私の顔は真っ赤になってしまった。

海斗も小学生に気付いたのか顔が赤い…


そして信号はいつのまにか青になっていた。



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