ミルクティー
次第に明かりは無くなっていき、車は山道を走っている。

回りは真っ暗。



「そろそろだからね」


「うん…」


「何、不安そうな声出しているの?」


「だって、行き先…教えてくれないんだもん。
それに、外が何も見えない…」


「まあ明かりが何もないからね」



海斗と一緒ならば別にいいけど…

いい加減に行き先、教えてくれたっていいのに。



「なーに、ムスーッとした顔しているのかな?」


「別にっ」



暗車内は暗いけど今の海斗の口調からハッキリわかる。

絶対、意地悪な笑顔を浮かべているはず。

私がムスッとしているのが分かっていながらからかってくる。



「あっ見えてきた」



突然、海斗が楽しそうな声をあげた。





えっ何?

海斗は駐車場みたいな所に車を停めた。



「ほら降りて」



海斗は私が座っているドアを開けてくれた。




ドキッ―――…




海斗のこんなさりげなく優しい仕草に私はドキッとしてしまう。

車の外に出て私はびっくりした。



「キレイでしょ?」




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