ミルクティー
私は恐る恐るカバンの中からマグカップを取り出した。



「これなんだけど…」


キレイにラッピングされたマグカップ。



「俺が貰っていいの?」


「うん…」



ヒョイッと私の手の中からマグカップが消えた。



「ありがとう、大切使わして貰うね」



や、やったー。

海斗が貰ってくれた。



「そのカップでミルクティー飲んで♪」


「今度、飲んでみるよ」



青い1本の線が入ったマグカップ。

私が色違いのカップを買うのはそう遠くないような気がした。



「よし、車に戻ろうか」


「うん♪」



この初詣が私と海斗の最後のお出掛けだった。







この時、陸たちは私と海斗の未来を知っていたんだよね。

そして私と海斗の気持ちも…


だから私たちを2人きりにしてくれたんだよね。



みんな…

ありがとう。





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