ミルクティー
「はい、どうぞ」


あ…

海斗の持っているカップ。


「使ってくれているんだね」


「もちろん。使いやすいよ」



海斗が使っているカップは私が海斗にあげたカップ。

あげた後から海斗とは全然会えなくて使っているか分からなかった。

けど、こうして使っている所を見ると



「嬉しい、ありがとう」


「どういたしまして」



カップは海斗にとても似合っていた。

「雛那ちゃんもシュークリーム食べよ?」

私が買ってきたシュークリームの箱を開けて海斗は嬉しそうに食べてくれた。



「雛那ちゃん…どうしてシュークリームが“3つ”もあるの?」


「陸の分」


「あいつの分はよかったのに…ごめんね」


「いいよ、陸に連れて行ってもらったんだから…
そのお礼だよ」


「雛那ちゃんは優しいね」



海斗はそう言って私の頭を撫でてくれた。

昨日まで全然海斗に会えなくて

寂しくて…

けど今日こうして海斗と一緒に居られる…と思うと涙が出てきた。



「雛那ちゃん…どうしたの?」


「なんでも、ない…」


「嘘つき、何かあったんでしょ。

話してごらん」



そう言って私をギュッと抱きしめてくれた。

抱き締められたら口が勝手に動いてしまった。



「……寂しかった」


「うん」


「会いたかった」


「うん」



本当は私の我が儘。

けど海斗は相づちを打ちながらしっかり聞いてくれる。




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