ミルクティー
「雛那、俺が家を出てからの5年間を聞いてくれるか」


私はコクンと頷いた。


「俺は高校生の時に留学したんだ」


「留学?」


「あるコンクールで審査員の先生に声をかけて貰ったんだ」



すごい。

昔からお兄ちゃんはピアノが上手だった。

そんなお兄ちゃんが留学していただなんて。

知らなかった。


「雛那が中学3年になってすぐ俺は海外へ発った。

少ししてから向こうのコンクールにも出たりしていて…雛那に全然連絡する事出来なかったんだ…



ごめんな」



受験の年からお兄ちゃんからの連絡は少なくなっていた。

忘れていたわけじゃ無かったんだね。



「本当は向こうで活動してもよかったんだけど、どうしても母さんに認めて欲しくて9月に日本に戻ってきたんだ。

本当は雛那に会いに行こうと思った。

けど出来なかった」



出来なかった?

どうして…



「私はお兄ちゃんの連絡をずっとずっと待っていたんだよ。

話したくて、会いたかったんだよ」



お兄ちゃん、教えてよ!








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