ミルクティー
それじゃっと言って、お兄ちゃんは部屋から出ていった。


「海斗、ごめんね…

ずっと握っていて」


海斗の袖は私が握っていたから

シワシワ。



「ビックリしよね。

かず…じゃなくて、お兄さんとの事黙っていてごめんね」


「和弥でいいよ」



陸は気を利かせたのかお兄ちゃんと一緒に部屋から出ていった。

今は海斗と2人きり。

だからついつい本音が出てしまう。



「海斗…怖いよ。

お兄ちゃんとお母さんがまた言い争う所なんて…

見たくない」


「大丈夫だよ。

お母さんは和弥の事を認めてくれるはずだから」



不安だらけだ。

5年前に見たお母さんとお兄ちゃんの言い争う姿。


怖かった。



「2人には仲良くなってもらいたい」


「雛那ちゃんの家族なんだから仲良しになれるよ」



私の持っている不安が全て無くなる訳ではない。



「雛那ちゃん」


海斗はそう言ってギュッと抱き締めてくれた。

安心できる。

私の安心材料。



「海斗、私お母さんとお兄ちゃんの事信じるね」


「雛那ちゃんの家族なら大丈夫だよ」




ポチャン

ミルクティーが落ちた。







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