ミルクティー
少しずつ近づく…
1歩…1歩
近くに行けば行くほどはっきりわかる。
校門の所に居るのは『海斗』

「海斗…」
私は小さい声だけど名前を呼ぶ。
海斗は気づいたのか私の方を向いて笑いながら手を振ってくれる。


ポチャン
また1滴…入っていた。


「海斗、どうしたの?」

「ん、雛那ちゃんが大学の場所わからないかと思って迎えにきた」

「昨日、左に曲がらずにまっすぐ行けば桃咲大だと思っていたけど…
違っていますか?」

「合っているよ。
なんだ、知っていたんだ。
じゃぁ迎えはいらなかったか」

「えっ…
私、迎えに来てもらえてすごく嬉しいです」

「ふふふ。
じゃぁ行きますか」

「はい」

海斗は私の歩調に合わせて歩いてくれる。
けど…

「えっ、どこに行くんですか」

「大学だけど」

「道は左じゃ…」

「俺、今日は車で来ているから車を取りに行くんだよ」

あ~車ね、車…

「えぇ!!、海斗って運転出来るの?」

「もちろん。
これでも2年生ですから」

自慢たっぷりに笑う。
知らなかった。
また1つ海斗の事を知った。


ポチャン
また1滴…


今日はもう2滴目。
少しずつ増えていく私の“ミルクティー”

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