ミルクティー




「ただいま…」


私はゆっくり家に入る。
そしていつもなら自分の部屋に向かうけど今日は違う。
お母さんの部屋に行く。



コンコン

私はゆっくり部屋をノックする。


「お母さん?
雛那だけどいい?」



返事が来ない。
やっぱり嫌われているんだ。

もう無理だよ。



そう思って引き返そうとしたら―――

「雛那、いいよ」


部屋の中から声が聞こえる。
お母さんだ!



私はゆっくりノブを回して入っていく。
何年も入っていなかったからとても懐かしく感じる。

「どうしたの」

「あ、えーっと…」

どうしよう。
言葉にならない。


「今日、何食べたい?」

「えっ…」

お母さんから話しかけてきてくれた。
何がいいって聞かれても…
私はとっさに思いついたのが

「カレー」

これしか出てこなかった。
お母さんの作ってくれるカレーはとてもおいしい。


「わかった。
まだご飯には早いからどこか行っていていいわよ。
暗くならない内に帰ってきなさい」

「はい」


私はゆっくり部屋を出る。
そして“あそこ”を目指す。
夢中で走った。


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