ミルクティー
小さい魚がたくさんいる。

青、緑、赤…

大きい水槽の中を自由に泳いでいる。

「この魚可愛い」

「これは太平洋にいる魚」

「じゃぁこっちの青いのは?」

「それも一緒」

「へぇ~…
海斗って物知りだね♪」

「……くくくっ…」

「ん?」

なんか海斗が必死に笑うのをこらえている。
なんでだろう?


私がキョトンとした顔をしていると―――
海斗が小さなプレートを指さした。

「あー!!
海斗はこれ見て言っていたの?」

「当たり前だよ。
俺はそんなに物知りじゃないからね。
もう雛那ちゃんが気づいていなくておもしろかったよ」


そのプレートには魚の住んでいる所などの説明書きがされていた。


もう、あるならあるでちゃんと教えてよ。
魚に夢中になっていた私が悪いけど…

「そんなにムスッとした顔しない」

「だってぇ~…」

「ほら、次行くよ」

そう言って私の目を見て頭を撫でてくれた。
そしてニコって笑いながら。


この笑顔、好き。
だって、なんだか見ていると温かい気持ちになれる。




ポチャン
このミルクティーと同じ温かさに。





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