ミルクティー
「海斗って友達から“心配症”って言われない?」

「う~ん…
あんまり言われないかな」

「えぇー嘘だぁー」

「本当だって」

「だっていつも私の事送ってくれたり、はぐれないようにって手繋いでくれるじゃん」

「そりゃそうだよ。
雛那ちゃんは見ていて危ない」

「そんなに危ない子じゃないもん」

「はいはい」

海斗ったら。
もう。
ちょっと拗ねているといつもより弱弱しい声が聞こえた。

「もしかして送ったりされるの嫌だった?」

なんでそんなに悲しい顔するの?
そんな顔して欲しくないよ。
私、結構嬉しかったんだよ。

「違う、違うよ。
私、嬉しかった。
あんな短い距離なのに送ってくれたり、迷子にならないようにって気にしてもらえて」

あれ、私どうしたんだろう。
言いたい事が沢山ありすぎてなんて言っていいか分からないよ。

「だから、だから…
今までどうりにしてくれる?」

海斗はずっと私の方を見ている。


そして海斗は優しく笑ってくれた。

「よかった。
俺、雛那ちゃんに嫌われちゃったかと思っちゃった」

「そんな事、無いよ……」

私も海斗に嫌われちゃったかと思ったよ。

けど、嫌われなくてよかった。

やっぱりちょっと不安になってしまった私は恐る恐る尋ねてみた。

「これからも今までどうりにしてくれる?」

「どうしようかなぁ~?
雛那ちゃんが嫌ならもう今までどうりには出来ないかなぁ~?」

あぁ…
やっぱり前みたいには接してもらえないんだ。
あんな事聞かなきゃよかった。

「くくくっ…」

「??海斗」

「全く、雛那ちゃんはおもしろい子だね。
今まで俺が勝手にやっていたことだからこれから勝手にやらせてもらうから」

そう言って海斗は私の頭を撫でてくれた。

もしかして今までどうりに接してくれるって事なのかな?
うぅ…分かんない。

「ほら、ショー始まるよ」

私は海斗に言われショーに集中した。
さっきまでの不安はショーが進むにつれて無くなっていった。


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