ミルクティー



2人で水族館に来ている。

楽しそう。




ううん。
楽しいんだよ。
だって2人とも笑っているもん。



私の右手は海斗にしっかり握られている。


温かい。


ドンッ――


人にぶつかって手が放れた。

「あっ…」

海斗はすぐに左手を出してくれた。

私はその手を握ろうとする。





けど、握れない。


何回も手を伸ばすけど海斗の手を掴む事が出来ない。



そして私からどんどん離れていく。



なんで?
どうして?

「海斗、待って」


名前を呼んでも聞こえていないみたい。


「海斗ー、海斗ー」

走っても、走っても追いつかない。
そしてどんどん小さくなっていく。
どうして?
なんで先に行っちゃうの?
迷子になっちゃうよ。




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