お姫様の憂鬱
「王子っ」

既にあたしの5mくらい前に居た王子にあたしは叫んだ


王子は少し驚いていたけど、すぐに優しく微笑んであたしの傍に来ると

「何? 美しいお姫様」

そう言いながらあたしの目に溜まった涙を親指でそっと拭う


あたしは自分の顔がカァーっと熱くなるのを感じながら王子の顔を見つめると

覚悟を決めて

「あたし、王子のことが・・・」


『好き』そう言おうとした

でも王子はそんなあたしの口にそっと自分の唇を重ねてきた


まるで、あたしにその続きを言わせないとでも言うように





一瞬、何が起こったのか分からなかった

熱くて柔らかい物が、あたしの唇に触れている感触がして

そこで分かった王子があたしにキスしたんだって
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