神様のシナリオ
「そして盗み出してみたら驚き!書いたことが現実になるじゃないか!そして俺は、こう思った。このスケジュール帳に、俺は市村と結ばれた、って書けば……ってな」
人間って、欲望に対してはすごく忠実だよね。
僕も、生きたいという欲望に則って生きてるわけだけど。
あーそうだ。
僕が非日常を嫌う理由は、死にたくないからなんだ。
死にたくないから、変わった日常はいらなくて、生きていたいから、非日常を嫌って何も変わらない日々を好む。
……だから。
だから、早く帰らせてくれよ……僕の毎日に。
「なんだか泣きそうな顔ね。お母さんが恋しくなってきたのかしら?」
ねえ、神様。
「どうやったら、僕の毎日に帰れるの?」
頭が痛い。
目の前で動いてる、息をしているイッチーまでもがいなくなってしまいそうで……怖い。
もう、あの悲惨な出来事は思い出したくなかったのに。
僕の脳裏では、ハッキリとあのときの記憶が呼び覚まされていた。