神様のシナリオ
その1
ところ変わって、今。
「イッチー、僕は母さんのことを恋しいと思ったことはないよ」
「そうでしょうね。……それより、あの変態からスケジュール帳を取り返すことだけを考えなさい」
取り返す方法なんて……ないに等しい。
工藤は巨大化した利川さんの手の上にいるわけだし。
となると、まずは利川さんを言い聞かせなくちゃいけないのか?
……あー、考えるのってめんどくせー。
「なぁ、工藤。どうやったらおりてきてくれんの?」
「んー?俺はおりねぇよ?……そうだな、市村が俺のものになってくれるなら……いいぜ」
……残念だけど。
それは僕が許さない。
だって、イッチーまで僕の目の前から消えてしまうのは、嫌だから。
「イッチー」
「どうしたの?」
「僕、イッチーのことは好きじゃない。けど、工藤は嫌いだから手伝うよ。イッチーのスケジュール帳探し」
「正確には、『イッチーのスケジュール帳を取り返せ☆大作戦☆』よ」
その☆に意味はあるのだろうか。