神様のシナリオ
 


そんなわけで僕……二ノ宮くんは、今日も昨日と同じように過ごしたいと願っている。

変わった非日常なんていらない。

そんなイベントが起こってしまったら、僕はとち狂ってしまう。

「ねえ、二ノ宮くん」

なのに、神様は残酷なもんだ。

「声が澄みすぎて、喋るカナリアかと思ったよ」

「ふふ、お世辞が上手なのね」

そこに立っていたのは、髪の長い女の子だった。

全体的にふわふわしていて、手足はスラッと長くて……一口に言うなら、小鹿みたいだ。

「君は確か、隣のクラスの……」

「市村よ」

「あぁ、そうそう。市村さんだ」

市村さんは僕を無言で見つめる。

……ん?

この展開、なんだか覚えがあるぜ。

あ、にらめっこだ。

よし、さっきのよりも完成度の高い顔をお見舞いしてやる!


 
< 3 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop