神様のシナリオ
そんなわけで僕……二ノ宮くんは、今日も昨日と同じように過ごしたいと願っている。
変わった非日常なんていらない。
そんなイベントが起こってしまったら、僕はとち狂ってしまう。
「ねえ、二ノ宮くん」
なのに、神様は残酷なもんだ。
「声が澄みすぎて、喋るカナリアかと思ったよ」
「ふふ、お世辞が上手なのね」
そこに立っていたのは、髪の長い女の子だった。
全体的にふわふわしていて、手足はスラッと長くて……一口に言うなら、小鹿みたいだ。
「君は確か、隣のクラスの……」
「市村よ」
「あぁ、そうそう。市村さんだ」
市村さんは僕を無言で見つめる。
……ん?
この展開、なんだか覚えがあるぜ。
あ、にらめっこだ。
よし、さっきのよりも完成度の高い顔をお見舞いしてやる!