神様のシナリオ
その2
あれから1週間後。
ちなみに僕の感覚では、まだ1日なんだけどね。
とにかく、僕はあの非日常から解放されたわけだ。
でも1つだけ、問題がある。
イッチーがあのスケジュール帳で世界を決めていたとするならば、僕の家族を殺したのはイッチーだということになる。
どうして、僕の家族があんなに苦しまなければならなかったんだ。
せめて、弟だけでも生きていてくれたらよかったのに。
「おはよう」
後ろから走ってきた(髪の毛がボサボサだからそう思った)イッチーが、僕に挨拶をしてきた。
「うん、おはよう」
イッチーに聞くのは、正直言って怖い。
僕は卑怯者の臆病者だから、できたら真実を聞きたくない。
「あなたに言わなければならないことがあるの。たぶん、あなたはもう、胸の中でモヤモヤが広がってるはずよ」
「イッチーはヒトの心まで操れるのか」
「そんなわけないでしょうが。私のスケジュール帳でも、行動や心理を指定するのは難しいわ」