愛の言葉




「さっちゃん、のって」




そういったのは、他でもない…正輝。





「え?!悪いじゃん!」

「いやいやいーから!」

「自転車持ってくるって!」

「ばっか!こうやってケツのせるつもりだったから徒歩できてもらったんだっつーの!」

「…分かったあ」




緊張して、高鳴る胸の鼓動を抑えて、私は正輝の自転車のケツにまたがる。

2ケツはあんまりなれてない。

だからドキドキするんだ、と自分に言い聞かせる。

だってなんか…正輝のことを好きになっちゃいけないような気がするから-。



ゲーセンに入り、ぷり機を探す。

今日はぷりくらを撮るらしい。

みんなで撮って、私と夏美が落書きをした。




「仲間 正輝 せっきー 稲ちゃん 佐月 夏美」
そう書かれた落書きを見てなんだか嬉しくなった。

仲間…か。

夏美のことは本当に大嫌いでうざったかった。

だけど…だけどそれでも、今は違った。

楽しい奴だって思った。

お互いに過去を清算してこれから付き合っていける。

心のそこからそう思った。


また、河原に移動することになり、正輝の後ろに乗る。




「ね、私重いでしょ」

「重くねーって」

「嘘だあ~」

「ほんとだって!ていうか、さっちゃんいいの?」

「へ?なにが?」

「俺らと…絡んでて」

「いいにきまってる!楽しいもん!」

「そっか…ありがと」

「なんでそんな改まるの」

「いや、あはは。菅野、喜ぶよ」




その言葉がなんだかつらく突き刺さった。

「菅野も喜ぶ」ってことは…正輝自身っていうより、夏美のためにここに私をいさせてくれるの?

…わかんないよ…。


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