いつかきっと
腹ごしらえを済ませ、シャコシャコと歯を磨き、寝癖を直して軽くアレンジする。
おぼろげな足取りで自室へ戻り、私服に着替えた。
といっても、お隣さんちに行くだけなのであまりガッツリしたものは着ない。
黒いTシャツに、下はダメージのジーンズといった簡単な格好だ。
着替えを終えて時計を見ると、午後3時を少し回った頃。
陽は高く昇り、クソ暑い日光がジリジリとコンクリートを焼く。
さっさと沈めよ太陽さんよぉー
窓の外からは微かに子供たちの声が聞こえてきた。
「…まだ早いか」
もう少し暗くなってからのほうがいいよな。
つっても、することねーんだよなぁ…
どうすっかなー金もねぇし。
そうだ、俺がヒマってことは亮もヒマしてるよな。
俺は机の上にあったケータイを開いて亮のアドレスを探す。
ちくしょー、これで忙しいなんぞぬかしやがったらマジで殴る!
そんな理不尽なことを考えながら、一行のメールを打つ。
『ヒマ。今からお前んち行ってい?』
送信、と。
ピッ
そして待つこと数分…
亮からの返信がきた。
『いいんじゃね?』
これまた簡単な内容だった。
ホント色気もへったくれもねーメールだな。
自分のことは棚に上げて亮のメールに駄目出しをする。
…そんじゃ行くか…
のそっと立ち上がり、部屋を出た。
もう何度目かの欠伸を零しながら、玄関に乱雑に脱いであったハイカットのスニーカーを足に引っ掛けて家を出る。
「…あぢぃ」
小さく愚痴を零して亮の家へと向かった。