いつかきっと
未来へ
ドンッ
『いってーな、前見て歩けや!!』
「す、すみません…」
ぶつかってきたのはそっちだろ、と小さく舌を打った。
この曇り空のように、どんよりとしたモヤモヤが心を埋めた。
……あれから一週間。
俺がようやく東京の暮らしにも慣れてきた頃。
夏祭りのあの日、香絵と別れてすぐ飛行機に乗り、ここへ来た。
何かと慌しい毎日のお陰か、特別悲しい思いをしたりはしなかった。
新しい友達もできた。
まだ凄まじい交通量や、身動きが取れなくなる程の人口密度に慣れるには時間が掛かりそうだが、それなりに充実した日々を送っている。
…君は今、どこで何をしているんだろう…
何を思っているんだろう…
ふと、あの日の香絵の泣き顔を思い出したときだった。
不意にケータイが鳴った。
この曲はメールか。
俺は比較的人の少ない道に入ってケータイを見た。
「……え……」
そこに表示された送信者の名前を見て言葉を失った。
「香、絵…?」
あれ以来一度も連絡がなかった香絵からのメールだった。
ケータイを開く手が僅かに震えている。
そして恐る恐るメールを見た。
「……っ!!」
不意に泣きそうな衝動に駆られた。
何かの見間違いではないかと何度も何度も読み返す。
けれどこれは、紛れもなく香絵から俺へのメッセージだ。
『頑張れ
大好きだよ』
たったの二言。
絵文字もなにもない、味気ない文章。
けれどその二言が俺を励まし、勇気をくれた。
……好きだよ、か。
先越されちゃったな。
『いってーな、前見て歩けや!!』
「す、すみません…」
ぶつかってきたのはそっちだろ、と小さく舌を打った。
この曇り空のように、どんよりとしたモヤモヤが心を埋めた。
……あれから一週間。
俺がようやく東京の暮らしにも慣れてきた頃。
夏祭りのあの日、香絵と別れてすぐ飛行機に乗り、ここへ来た。
何かと慌しい毎日のお陰か、特別悲しい思いをしたりはしなかった。
新しい友達もできた。
まだ凄まじい交通量や、身動きが取れなくなる程の人口密度に慣れるには時間が掛かりそうだが、それなりに充実した日々を送っている。
…君は今、どこで何をしているんだろう…
何を思っているんだろう…
ふと、あの日の香絵の泣き顔を思い出したときだった。
不意にケータイが鳴った。
この曲はメールか。
俺は比較的人の少ない道に入ってケータイを見た。
「……え……」
そこに表示された送信者の名前を見て言葉を失った。
「香、絵…?」
あれ以来一度も連絡がなかった香絵からのメールだった。
ケータイを開く手が僅かに震えている。
そして恐る恐るメールを見た。
「……っ!!」
不意に泣きそうな衝動に駆られた。
何かの見間違いではないかと何度も何度も読み返す。
けれどこれは、紛れもなく香絵から俺へのメッセージだ。
『頑張れ
大好きだよ』
たったの二言。
絵文字もなにもない、味気ない文章。
けれどその二言が俺を励まし、勇気をくれた。
……好きだよ、か。
先越されちゃったな。