いつかきっと
――ここはどこだ……?
見渡す限り真っ白な空間。
自分以外何もない世界。
俺はたしか香絵の部屋にいたはず……
『圭太』
え!?
香絵の声…どこだ?
「香絵!」
俺は叫んだ。
けれど香絵の姿はどこにも見当たらない。
「香絵ー!!」
もう一度叫んだ。今度は走り出しながら。
『圭太……』
香絵の声がする。
どこだ! どこにいる!!
走っても走っても同じ景色が流れていく。
自分は本当に走っているのかさえ分からなくなってくる。
ここには不安しかない…そう感じさせるような世界だった。
俺は苦しくなって立ち止まった。
「はぁ、はぁ…香絵、どこにいるんだよっ…」
掠れた声を絞り出すように発した。
僅かに震える腕でグイッと額の汗を拭う。
そのとき――
「! か…え……?」
がいた。
目の前に、泣きながら佇む香絵がいた。
「香絵!!」
そう叫びながら手を伸ばす。
が……、
!?
香絵に触れることは出来なかった。
自分の手が、香絵のからだを通り抜けている。
よく見るとそのからだは透けていた。