ありがとうって言いたくて。

「望月さん、私に何か用?」


私は、頬杖をついたまま見上げた。



「健(タケル)くんがいなくなったから、寂しいんじゃないの?」

ニコニコしながら話してくる望月さんに、私は少しイラっときた。


「なんで?」


私は望月さんから少し目を逸らした。


「だって、好きだったんじゃないの?」


望月さんが、私の何を知っているのかわからないけど。



私の席は窓際で日当たりがいい。風も気持ちいい。

カーテンが揺れ、私の顔の前を通り過ぎる。



「諸星さん?」



私は途中で窓の外を見ていた。


「あ、ごめんなさい」




私は、慌てて頬から肘を外した。






< 3 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop