ありがとうって言いたくて。


上の空で授業を聞いていた。


いつもなら、君が私のほうを見て一緒に笑った。


つまらない授業も君と、目を合わせてジェスチャーゲームみたいなのをしていた。



それが、いつもは定番で少し、当たり前だった。



今日は何だか、授業の内容が頭に入っていかなかった。



空を見ていたい気持ちだった。


私は、頬杖をついて顔を下げた。


前の子の頭と、私の顔が重なるようにして。



先生は白いチョークを懸命に動かしていた。


丁度、先生の影で見えなくなった文字があった。


そのときは、反対側の角度にいた君に尋ねては写して...そんなことをしていた。




私は、君に頼り過ぎていたのかもしれない。


居なくなったら、すごく不安で。


君が近くにいないだけで、何だか怖くなったり。


君の声が聞こえないだけで、独りぼっちな気がしたり。




私のこと、支えてくれていたんだ。


改めて私は、君に感謝をしていた。





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